著作権法違反とか親告罪とか強姦とか

閉塞感がある。著作権の話で強姦罪の話を持ち出してはいけない、だけ言えばよかったのに余談を入れすぎたか。推敲の足りぬツケ。id:subsukaponさんに本文で返信。id:tovさんには堂々巡りになりそうなので悩み中・・・ということらしいですが、なぜ強姦罪を特別扱いするのかよく分かりません。正直言って、強姦罪なら原則違法でも自分に不都合がないから別なの? と皮肉のひとつも言いたくなります。というか言ったか
本題。しっぽのブログ: 強姦罪の親告罪と、著作権の親告罪は、ちょっと、違うかもしれない。の追記でも、著作者の抗議がなければ違法ではないという主張を繰り返していますが、やはりそれには同意できないです。とはいえ、私が言葉を並べても堂々巡りになると思うので、他の方の文章を借りることにします。

若干脱線して法律論をするなら、著作者の許諾があるかどうかは罪となるべき行為の構成要件に関する話で、親告罪における告訴の有無は訴訟手続に関する話です。これらにどういう違いがあるかといえば、罪が罰せられるには、

  1. 何らかの行為が罪に該当するかどうか(構成要件を満たすかどうか)
  2. 正当防衛など、行為は罪に該当するけれども正当とされるものであるかどうか(違法性阻却事由の有無)
  3. 罪に該当する行為で、正当とされるべきものでもないけれども、幼児によるものなど、責任を追及できるものであるかどうか(責任阻却事由の有無)

という3つのステップを踏む必要がある、ということになっています。親告罪は、ここまでのところには関係ありませんから、罰すべき罪であるかどうかは、告訴の有無に関係なく決まる話です。たとえば、親告罪として有名なものに強姦罪がありますが、被害者が告訴しなくとも、それが罰すべき罪であることには変わりありません。ただ、裁判において被害者がより苦しむ可能性に配意して、被害者が望まなければそれを政策的に不問としているに過ぎません。

したがって、著作権者の許諾の有無は、著作権者の告訴の有無に比べて、法律的にはよほど重い話です。告訴がなくても罪ではありますが、構成要件に該当しなければ罪ではないのですから。

 第二に,権利者(著作権者など)が複製行為等を承諾するならば,非親告罪化されようがされるまいが,著作権法違反とはなりません。権利者の承諾・合意がある場合に著作権法違反とならないのは,親告罪だからではなく,そもそも法益侵害がない(犯罪が存在しない)からです。

 第三に,仮に,『事前に権利者に通知していたならば,承諾を得られたであろう』程度の権利侵害(複製行為等)であっても,承諾を得ていない以上,権利侵害であることは事実です。『マァ,大丈夫だろう』という利用者側の一方的な信頼は,果たして保護に価するのでしょうか。保護に価する,と言って欲しい心情は分かりますが,それを訴えるだけでは,前記の「事実」を覆す(あるいは例外を認めさせる)ことは困難です。その他の客観的な理由づけや,そうした心情について社会一般の共感を得ることが必要になりましょう。

 もし本当に『事前に…』といえるのであれば,事後的に承諾を得ることによって不起訴処分となる可能性は高いと思われます。また,事前承諾を得ることが事実上困難であるというのであれば,『二次創作物』によって形成される文化の危機は,そうした承諾を拒む権利者が招いたものであって,非親告罪化が原因と言うべきでないように思うのです。『二次創作物』文化という土壌から作家が多く輩出されているというのであれば,そうした承諾は広く行われるようにも思われるのですが,どうなのでしょうか。

著作者が何も言わない場合、罪ではあるけれど違法ではない、というのは素直な解釈とはいえないでしょう。私個人としては、黙認であっても罪ではないとして差し支えないようにも思いますが、建前としては黙認ではNGであるということのようです。追記:黙認しているかどうかを確認すると、それは黙認ではなくなってしまうという点についてはあんまり考えてません。