親告罪事件の捜査と告訴の関係

はてなブックマーク - ニコニコ動画が明らかにしたダウンロード違法化・著作権侵害非親告罪化の問題点 - Copy & Copyright Diaryブックマークコメント親告罪か否かは捜査の可否と直接関係ない(強姦の現行犯現認時に「告訴がないから逮捕できない」とでも思っているのか)(余談:民事上の問題はさらに無関係)。誤解による萎縮はあるだろうが、誤解は誤解。と書いたのですが、そもそも親告罪での現行犯逮捕って、被害者(告訴権者)による犯人認定抜きで行われることはないはず。警察単独では別件逮捕か任意同行どまり。というコメントをいただきました。

実務上は、告訴のない親告罪事件の捜査を熱心にやることは、単に無駄である場合が多いということもあり少ないとは考えられます。ですが、親告罪の規定は告訴がなければ起訴できないというものですから、建前としては親告罪事件であっても告訴なしでの捜査は可能です。また、犯罪捜査規範昭和32年国家公安委員会規則第2号)第70条親告罪の応急捜査についての規定を設け、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。としています。

もちろん、72条では、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となると認められる場合を除いては、請求があつてから、捜査するものとする。としていますし、第121条には逮捕状を請求するに当つて、当該事件が親告罪に係るものであつて、未だ告訴がないときは、告訴権者に対して告訴するかどうかを確かめなければならない。とされていますから、親告罪であることにより捜査に一定の制約が加えられることも明らかですが、親告罪事件では告訴がなければ逮捕状を請求できないとは書かれていませんし、現行犯逮捕が不可能であるとも読み取れません。

なお、このような場合、何かの法律に抵触していますか? - Yahoo!知恵袋には、以下のような回答があります。

なお、刑法第232条の親告罪であっても、現行犯逮捕は可能と解されます。
なぜなら、親告罪とはあくまで検察官が逮捕した後の公訴が提起ができるかの問題だからです。
(論点として、親告罪の通常逮捕ができるかは別途問題になります)

追記

刑事訴訟法第213条現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。としていますから、現行犯であれば誰でも逮捕できるわけです。常人逮捕のことを考えると、親告罪事件か否かで扱いが変わる=親告罪事件であれば逮捕した側が逮捕監禁罪に問われる可能性があるということでは問題があります。現行犯の場合には親告罪であっても告訴の有無や意向を問わず逮捕ができるとするのが妥当でしょう。